抗生物質起因性下痢時の豚大腸上皮縮織の組織学的な構造

元データ 2003-03-25 社団法人日本獣医学会

概要

抗生物質赳囚性下痢(AAD)は広範囲スペクトラムの抗菌剤を投与すると大腸内炎菌叢が深刻な影響を受け発症すると考えられている.AADの発症は,主に病原菌の増殖や大腸内の短鎖脂肪酸濃度の減少によると考えられてきた.ところが最近,我々はAAD誘導豚糞便から著量足のコハク酸および乳酸の蓄績を認めた.これらの酸は,健康な豚の糞便および大腸内官物からは殆ど検出されず,炎症性腸疾患患者の糞便中に蓄積が認められ,下痢や炎症の主な原因と考えられている.そこで我々は,コハク酸および乳酸が糞便に蓄積していたAAD誘導豚の大腸上皮組織を,組織学的に観察した. AADはポリミキシンB (PL)又はエンロフロキサシン (ERFX) を投与して誘導した.コハク酸または乳酸が下痢便中に認められた時点で剖検し,盲腸,結腸求心回,結腸遠心回および直腸を採材した.健康な豚も対照として剖検した.AAD誘導豚は結腸求心回の粘膜固有層に浮腫を認めた.ERFX投与豚ではさらに結腸遠心回にも浮腫を認めた.浮腫の粘膜固有層には多くの炎症性細胞の浸潤を認めた.大腸上皮組織はAADの誘導によって影響を受け,その原因はコハク酸および乳酸の蓄積と考えられた.ERFX投与豚がPL投与豚よりも深刻な影響を受けていたのは,高濃度のコハク酸と低濃度の短鎖脂肪酸が原因である可能性が考えられた.

著者

牛田 一成 京都府立大学大学院農学研究科動物機能学講座
塚原 隆充 京都府立大学大学院農学研究科動物機能学
塚原 隆充 京都府立大学大学院農学研究科動物機能学:栄養・病理学研究所
Ushida Kazunari Laboratory Of Animal Science Kyoto Prefectural University
岩崎 由恵中山 (株)J.C.R.
牛田 一成 (株)京都動物検査センタ
牛田 一成 京都府立大学大学院農学研究科

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