生育空間の形状の違いと隣接する牧草の種類がエゾノギシギシの生育に及ぼす影響

概要

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エゾノギシギシを生態的に防除する観点から、シロクローバ(WC)、オーチャードグラス(OG)およびリードカナリーグラス(RCG)の単播草地内に面積の等しい円形、楕円形、長楕円形のギャップを人工的に作り、その中で成長させたエゾノギシギシの生育型戦術について検討した。ここで生育型戦術とは、発芽、定着して後、種子生産を行なうまでの過程で、形態的な可塑的性を手段として、生活空間を維持あるいは拡大していく方法と定義する。隣接個体のない対照区個体と比較することで各ギャップ内個体の生育型戦術を明らかにした。草丈がエゾノギシギシより低いWC区のギャップでは対照区と同様の形態を示しながら成長した。一方、草丈がエゾノギシギシより高いOG区やRCG区の個体は、最外葉の展開角度を狭め、葉柄長を伸ばすという戦術を示した。そして最も不良な環境と考えられたOG区の長楕円ギャップ内個体にも花芽を形成したものが認められた。WC区では円形に近いギャップ程、エゾノギシギシの生育がよかった。しかしOG区やRCG区では、いずれのギャップでもエゾノギシギシの生育が著しく抑制されたため、形状の違いによる差は不明瞭であった。
日本雑草学会の論文
1992-04-28