Bensulfuron methylのイネ体内への吸収と分布
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概要
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Bensulfuron methyl(DPX F5384、以下BSMとする)のイネによる吸収とその分布を、^<14>C標識化合物、高速液体ク回マトグラフィー(HPLC)を用いて検討し、本化合物の移植水稲における選択的作用性に関連して、以下の知見を得た。 1)水掛液に^<14>C標識BSMを加えてイネの苗を浸漬すると、根部と茎葉基部3cmまでを漬けた区では、根部のみ浸漬区よりも20〜30%多い量の^<14>Cが検出された。また、両区とも根部における^<14>C量が茎葉部を著しく上回った(Figure 1)。 2)上記の実験で24得問浸漬した苗の全^<14>C活性における親化合物(BSM)とその代謝物との割合は、茎葉部でおよそ1:3であるのに比べ、根部では3:1と大部分が代謝されないままで残っていた(Table 3)。 3)根部および茎葉基部を水掛液に漬けたイネ苗の茎葉部に0.005〜5ppmのBSM溶液を接触させ、10日後に草丈、根長、茎葉たらびに根の乾物重を測定した。0.005ppmで12〜23%程度の抑制が生じ、明らかな濃度反応が認められた・また、特に高濃度では根部の反応がより大きかった(Table 1)。 4)BSMによる薬害症状が発生しやすい有機物含量の低い砂壌土を用い、稚苗でイネを移植したポットに^<14>C標識化合物を含むBSMの100 gおよび400 g ai/ha相当量を湛水処理し、所定目数後にイネ体内の^<14>C量を測定した。100 g処理区では1日目を最高に4〜7日目まで漸減したが、400 g処理区では4日目まで増加し、7日目で減少がみられたものの高いレベルにとどまっていた。また、両区とも各時点で根部より茎葉部での^<14>C検出量がはるかに多く、特に400 g区でその傾向が顕著であった(Figures 2および3)。 5)上記の実験で、BSM処理後7日目におけるイネの生体重を求めたところ、無処理区対比で100 g区では根に0%茎葉部に30%、 400 g区で根に5%茎葉で57%の減少がみとめられた(Table 2)。 6)また、同じ実験で100 g区での田面水、土壌たらびに、土壌水中での^<14>C活性量を経時的に測定し、それぞれの割合を求めたところ、田面水中濃度が4日目までに全体の約40%までに低下しているのと並行して土壌中濃度は4日目で約60%に増加したが、土壌水中では処理当日から7日目まで、低いレベルだがほぽ一定した割合を保っていた(Figure 4)。以上の結果より、イネの根部においては、BSMの吸収能は茎葉部を大きく上回るが、逆に代謝能は相対的に小さく、またBSMに対する感受性もより強く、潜在的には根から短時間に大量のBSMが吸収されるような条件ではイネに薬害が生じ得るが、通常の移植水稲条件ではBSMの大部分は田面水または土壌水から茎葉部によって吸収され、その高い代謝能により速やかに不活性化されるので安全性が保たれるものと考えられる。
- 日本雑草学会の論文
- 1987-10-30
著者
-
湯山 猛
デュポンジャパン
-
湯山 猛
デュポンジャパン農業事業部
-
湯山 猛
デュポン・ファーイースト
-
武田 俊司
デュポン・ジャパン
-
ACKERSOX Robert
E.I. デュポン
-
武田 俊司
デュポンジャパン農業事業部
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