アロキシジムのトウモロコシと大豆における取込み, 移行, 代謝
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概要
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アロキシジムはイネ科雑草に特異的に高い除草活性を示し、広葉植物にはほとんど作用を示ざたく、イネ科植物と広葉植物間に極めて高い選択性を示す除草剤である。この選択性を調べることを目的として、イネ科植物としてトウモロコシを、広葉植物として大豆を用いて検討した。両植物にアロキシジムを散布し、その感受性の違いを調べた結果、両者の最低枯死薬量問には約100倍の開きがあった(Fig.1)。 次にアロキシジム散布後のトウモロコシの各部の伸長程度を調べた結果、新葉の伸長が特に強く阻害された(Fig.2)。生育の停止は散布後2日目から認められ、その時点では外見上新葉旧葉共に殺草徴候は認められなかった。次に、^<14>C標識アロキシジムを2、 3葉期のトウモロコシの第2葉に、初生葉展開期の大豆の一方の初生葉に塗布し、その後1、 4、 24時間後の体内への取込みを調べた結果、両者間にほとんど差はなかった。また処理葉以外の場所への移行量もほとんど差は見られなかった(Table 1)。両者の各部の^<14>C-標識アロキシジムの分布を調べた結果、いずれも処理の約80%が処理葉に存在した。処理葉以外では、トウモロコシにおいては生長点を含む茎部に最も高い放射能が認められた。一方、大豆では生長点を含む第2葉より第1葉に最も高い放射能が検出された(Table 2)。更に両者共高い放射能が検出された部位、トウモロコシでは生長点を含む茎部を、大豆は第1葉と第2葉を用いその内部における代謝を調べた結果、ヘキサン画分、酢酸エチル画分のアロキシジムの時間の経過に伴う変化の割合および水画分、残査部の時間の経過に伴う増加割合にはほとんど差は認められたかった(Table 3)。トウモロコシと大豆の両方で3種の代謝物と極微量のunknown化合物が検出された。3種の代謝物はいずれも除草活性は認められなかった(Table 5)。これらのことから、トウモロコシと大豆のアロキシジムに対する感受性の違いは吸収、取込み、代謝の違いからは説明できなかった。
- 日本雑草学会の論文
- 1987-08-31
著者
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