水田雑草の発生に及ぼす遮光の影響
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概要
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雑草発生の不斉一性は, 農耕地における雑草防除の最大ともいえる問題点である。この不斉一性には, 種子の内外に多くの要因があるが, ここでは外的要因解明の1つとして, 水田雑草の発生に及ぼす遮光の影響を水田状態において調査した。1. 無遮光区における雑草の総発生数は852本/m^2であり, 遮光率が高い区ほど発生数は減少した。遮光率が81%区の発生数は無遮光区の29%となり, 5%水準(Tukey法)で有意に低かった。草種毎の発生数も遮光率が高い区ほど減少した。特にヒメミソハギは, その傾向が大きかった。ヒメミソハギの発生数と遮光率には高い相関関係が認められ, 相関係数は-0.985であった(第1表)。2. 遮光解除後の雑草の発生数は, 遮光期間中の発生数が少ない区ほど多くなり, 無遮光区は852本/m^2であった。遮光と遮光解除の合計の発生数は, 無遮光区(遮光率0%)が1,705本/m^2と最大であった。両者の合計において, 遮光率0-40%区と81-100%区の間には, 5%水準(Tukey法)で有意な差異があった(第2図)。3. 遮光率が高い試験区ほど, 遮光処理解除後にヒメミソハギの発生が多く認められた。これは遮光率が0-94%の各処理区間で5%水準(Tukey法)で発生数に有意な差異があった。また遮光率と遮光解除後の発生数の相関は高く, その相関係数は0.847であった(第2表)。4. 水田で多発したアゼナ, チョウジタデ, ヒメミソハギ, ミゾハコベ, キカシグサ, アブノメは, いずれも遮光の影響が大きい草種であると考えられた。
- 2001-03-30
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- 村田威夫・谷城勝弘 著, 「野外観察ハンドブック シダ植物」, A5判, 134頁, 2006年4月, 全国農村教育協会, 発行, 1,905円+税, ISBN4-88137-121-5。
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