ヤブカラシ(Cayratia japonica)の葉・葉緑体・光化学系II粒子の光合成の耐熱性
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概要
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熱帯起源のブドウ科雑草ヤブカラシは, 光合成反応での最も熱に弱い酸素発生反応において45℃・5分処理に対し耐熱性を持つことが, 葉・葉緑体・光化学系II粒子のクロロフィル蛍光変化温度・酸素発生失活温度・機能的必須因子のMnや在外性ペプチド(18-, 24-, 33-kDa)の酸素発生中心からの流失温度を調べて明らかにされた。45℃で5分処理した葉の光合成反応開始時のクロロフィル蛍光の誘導・立ち上がり(図1の破曲線)を調べると, ホウレンソウ・カボチャ・トウモロコシ・ギシギシ・クズの葉の蛍光は, 初期に小さいが鋭く上昇し, その後緩慢に増加したが, ヤブカラシ葉では初期上昇が見られず着目された。次に, 熱処理をしたヤブカラシ葉のクロロフィル蛍光の大きな変化は50℃以上で現れること(図2), 45℃で5分処理をした葉から調製した葉緑体の酸素発生活性がホウレンソウでは消失したがヤブカラシでは残存したこと(表1), ヤブカラシ葉から調製した葉緑体や光化学系II粒子の酸素発生活性は50℃以上でないと失活しないこと(図3, 表2)から, ヤブカラシが45℃・5分処理での耐熱性を示すことが確認された。このヤブカラシの耐熱性は, 酸素発生中心の機能的必須因子のMn(表2)や在外性ペプチド(図4)が, 熱処理をしても光化学系II粒子外に流失されにくいことと関連つけて説明できる。
- 日本雑草学会の論文
- 1998-10-30
著者
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