抗真菌薬D0870を投与したイヌに認められた逆頻度依存性QT延長
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
我々は既に, 抗真菌薬であるD0870をイヌに投与するとQT延長とtorsades de pointes(倒錯型心室頻拍, TdP)による突然死が生じ, この突然死にカテコラミンが重要な要因として関与していることを報告した.本研究では, これらの研究で記録されたホルター心電図記録を詳細に解析してTdP発生のメカニズムを明らかにするとともに, D0870が心筋の再分極過程に及ぼす影響を評価するためにイヌの摘出プルキンエ線維を用いたin vitroの実験を実施した.その結果, 突然死直前のTdP(持続性TdP)では, 非持続性TdPの心電図波形に比してTdP出現前5および10秒間の洞調律が早く, 連結期(coupling interval)が短く, 心室頻拍の脈拍数が増加していた.これらの所見は, D0870により誘発された致死性TdPが遅延後脱分極から生じた撃発活動(triggered activity)により惹起された可能性を示唆している.一方, 徐脈依存性・非持続性TdPは典型的な"short-long-short"パターンを示しているので, 早期後脱分極から惹起されたのかもしれない.さらに, in vitroの実験結果から, D0870投与によるQT延長はin vivoの結果と同様に逆頻度依存性ブロック(reverse use-dependent block)を示し, さらに, D0870は早い遅延整流K電流(Ik_r)のみならず, L型Ca電流(I_<Ca-L>をも抑制することが示唆された.)
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2000-02-25
著者
-
三井 雄史
持田製薬株式会社総合研究所安全性研究室
-
原田 拓真
持田製薬株式会社総合研究所安全性研究室
-
澁谷 靖義
持田製薬(株)総合研究所安全性研究室
-
松永 敏之
持田製薬(株)総合研究所安全性研究室
-
原田 拓真
持田製薬(株)総合研究所安全性研究室
-
平田 善三
持田製薬(株)総合研究所安全性研究室
-
三井 雄史
持田製薬(株)総合研究所安全性研究室
-
村野 弘行
持田製薬(株)総合研究所安全性研究室
-
澁谷 靖義
持田製薬(株)富士中央研究所
関連論文
- 実験動物におけるQT補正の実際 : ビーグル犬およびアカゲザルにおけるQT補正式について
- 甲状腺機能低下ラットの心電図変化
- 抗真菌薬D0870を投与したイヌに認められた逆頻度依存性QT延長
- イヌの心筋単相性活動電位(MAP)測定法の検討
- 5,8,11,14,17-Eicosapentaenoic acid ethyl ester(EPA-E)の一般薬理作用