胸線細胞の放射線誘発アポトーシスにおけるB220の発現

概要

論文の詳細を見る
CD45は, 細胞表面の糖蛋白質で, 成熟赤血球と血小板を除くすべての血液細胞に発現している. エクソン4, 5および6のaltemative splicingにより, 8つのCD45アイソフォームが存在する. B220はこれら3つのエクソンをすべて含むアイソフォームで, B 細胞系で特異的に発現している. ところが, staphylococcal enterotoxin B (SEB)により, 誘発されたアポトーシスT細胞にB220が発現すると最近報告された. 本研究で我々は, 全身X線照射後のマウス胸線細胞でのB220の発現を調べた. 細胞サイズの指標に, フローサイトメトリーの前方散乱光を用い, 2つの細胞集団を定義した. すなわち, FSC^<high>(正常細胞の大きさ)とFSC^<low>(アポトーシス細胞の大きさ)である. FSC^<high>分画においてB220陽性(B220^+)細胞は照射後18時間で最高値(35%)を示した. FSC^<low>分画では, 40〜60%の細胞が常にB220陽性であった. FSC^<high>細胞においてB220が発現していたことから, この表面抗源が前アポトーシス段階にある胸線細胞の示標となりうると考えられる.
社団法人日本獣医学会の論文
1999-04-25