健康ビーグル犬における7.2%高張食塩液静脈内投与が血清電解質および血清浸透圧に及ぼす影響

概要

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2.5,5および15 ml/kgの7.2%高張食塩液(HSS; 2,400 mOsmol/kg・H_2O)もしくは5 ml/kgの生理食塩液(ISS; 300 mOsmol/kg・H_2O)を麻酔下のビーグル犬(各群4頭)に1.6 ml/kg/分の投与速度で静脈内投与し,循環血漿量,血清電解質,および血清浸透圧を指標にその安全性を検討した.その結果,5 ml/kgおよび15 ml/kg-HSS群の循環血漿量指数は投与終了時にそれぞれ143.1±7.4%(投与開始後3分)および156.4±5.9%(投与開始後5分)の最高値を示し,5 ml/kg-HSS群はその後も高値を維持した.2.5 ml/kg-HSS群の循環血漿量指数はISS群と有意な差は認められなかった.5 ml/kg-HSS群は投与中に一過性の高Naおよび浸透圧状態を示したが,HSS投与終了後の血清Na濃度は高Na血症を示す160 mM/lよりも低値であった.しかし,15 ml/kg-HSS群の血清Na濃度は投与開始後10から90分まで高Na状態(161.4-174.5 mM/l)が持続した.また,15 ml/kg群の動脈酸素分圧は投与開始後120分に63.7±8.0 mmHgの最低値を示す有意な減少が認められた.以上の結果から,5 ml/kgの7.2%高張食塩液は高Na血症を生じることなく安全且つ迅速にイヌへ投与することが出来ることが示唆された.HSSの使用時には高Na血症,呼吸器系への影響を考慮して投与量を厳守する必要があると思われる.
社団法人日本獣医学会の論文
1999-06-25