イオン性および非イオン性造影剤のイヌの血管造影における循環動態ならびにX線造影能に及ぼす影響
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概要
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イオン性造影剤であるdiatrizoateと非イオン性造影剤であるioxilan, iohexolおよびiopamidolを用いてビーグル犬の脳血管, 四肢血管ならびに左心室大動脈系を造影し, 各造影剤の循環動態に対する影響とそのX線造影能を比較検討した. 造影時には降圧, 徐脈, 頻脈, 左室内圧およびdP/dt低下, P-QならびにQ-T間隔の延長がみられたが, diatrizoateの作用は全ての造影領域で非イオン性造影剤の作用を上回っていた. 加えてdiatrizoateでは不整脈の発現や血液の流動学的特性に著明な変化が認められた. これら造影剤による循環動態の変化は主に造影剤の浸透圧, 粘度に由来するものの, 一部イオン性添加物の影響も関与していると推察された. 各造影剤のX線造影能はほぼ同等であったが, 脳血管造影ではヨード含量が少ないにも拘らずioxilanとiohexolが優れた造影効果を示した. これらの成績から全身状態に問題のある動物の血管造影に際しては, 循環系に対する影響の少ない造影剤, すなわち低浸透圧を特徴とする非イオン性造影剤が有用であると考えられた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1994-02-15
著者
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倉田 昌明
中外製薬(株) 信州伊那研究所
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倉田 昌明
中外製薬(株)安全性研究所
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武田 敬介
中外製薬(株)安全性研究所
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中村 裕之
中外製薬(株)安全性研究所
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春田 耕一
中外製薬(株)安全性研究所