無拘束ラット腰椎内投与液の物理化学的性状に関する基礎的検討
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概要
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薬剤のラット中枢神経系に対する安全性を評価するためには比較的大量の溶液を多数の動物にほぼ同時期に投与し, 生死の有無とともに毒性学的評価を行う必要がある. そこで外科的手法を用いず, 無麻酔無拘束下での腰椎内投与法を工夫するとともに, その投与液の至適組成の基礎検討を行った. 実験に先立ち, 麻酔ラットの第2-3腰椎間腔に25G針を刺入し, 色素剤phthalocyamine blueを投与したところ, 色素は第四脳室および第三脳室に取り込まれ, 一部は脳血管周囲および静脈内にも観察された. これらの結果をもとに, 腰椎間腔の同部位に20G針を刺入し, 針の内腔を介して微少ポリエチレンチューブの遠位端を軸椎まで挿入して, 20G針を除去後, チューブの近位端を頚部に固定した. 覚醒後, 延長チューブに接続して, インフュージョンポンプを用いて投与量, 投与速度と投与液の物理化学的性状との関係を, 死亡率および症状発現を指標に72時間後まで観察した. その結果, 投与量2ml/rat, 投与速度0.5ml/min, の条件下では等張 (300mOsm/kg H_2O) で酸性から中性 (pH3-7) 溶液でのみ死亡も重篤な症状も認められなかった. 以上のことより, 脊椎・脳内投与では投与液の物理化学的性状に十分考慮を払う必要がある事が示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1997-12-25
著者
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古濱 和久
第一製薬(株)
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古濱 和久
第一製薬(株)東京研究開発センター
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加藤 道幸
第一製薬株式会社 安全性研究所
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下田 一美
第一製薬(株)東京研究開発センター
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加藤 道幸
第一製薬(株)東京研究開発センター
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