斜面の安定

概要

論文の詳細を見る
地スベリや山崩れなどの自然斜面, 人工斜面における災害は, 降雨や地震などの外力が斜面のもつ固有の性質とかみ合って起こるのであるが, 最近の急激な開発によって, これらの災害が増加する気運にあることを指摘した。このような斜面の災害を分類して, それぞれの特徴を示し, とくに地スベリについては自然状態におけるものは地質的に特定の地域に起こるが, 大規模な土工によってじゃっ起するものは天然地スベリの少ない地域や, 地形的にみて安定していると思われる斜面に急激に生じうることを述べた。ついで建設省が実施した崖崩れと道路ノリ面の実態調査の結果を紹介し, 斜面の全面に保護工をすることと, 水処理を十分に行なうことが災害を減少させる第一歩であることを示した。安定計算に対する反省としては, スベリ面の仮定とc, φの決定の両者に従来の土質力学の知識だけでは不十分なところが多いことを指摘し, 斜面の危険度の判定と崩壊の予測とが行なわれうるよう, 技術開発への努力が必要であると結んでいる。
1975-12-15