Chlornitrofen連用履歴のある水田および休耕田の土壌,藻類ならびに湿生植物中のダイオキシン類の分布状態
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
過去に除草剤CNP(chlornitrofen)を連用した履歴のある東北地方の水田および休耕田において,土壌,藻類,および湿生植物中のダイオキシン類濃度を調査した。土壌からは43,000〜83,000pg/g(26〜72TEQ pg/g),藻類(フシマダラ(Pithophora zelli Wittrock))からは1,600pg/g(0.64TEQpg/g)のダイオキシン類が検出された。湿生植物(オモダカ(Sagittaria trifolia L.),タウコギ(Bidenstripartita L.),ヨシ(Phragmite australis (Cav.)Trin. ex Steud),ガマ(Typha latifolia L.),マコモ(Zizania latifolia L.))の地上部,新芽,および地下茎では,ガマの1点の試料を除いてダイオキシン類の濃度は70pg/g(0.15TEQpg/g)以下であった。それらの異性体は大部分が1,3,6,8-TCDDであり,1,3,7,9-TCDD,およびOCDDがこれに次いだ。これらの異性体組成は,CNP製剤中から夾雑物として検出されたダイオキシン類と一致しており,水田および休耕田の土壌,藻類,および湿生植物中に蓄積したダイオキシン類の大部分が過去に施用されたCNP製剤に由来することを示唆している。しかしながら,若干量のOCDDやPCDFsも検出されたことから,他の農薬やゴミ焼却灰由来のダイオキシン類による影響も,考慮する必要があることが示唆された。最も毒性の高い2,3,7,8-TCDDは,湿生植物の試料からは検出されず,土壌および藻類でのみ検出されたが,その濃度はいずれも全ダイオキシン類の0.005%以下であった。
著者
関連論文
- 23-10 日本の水田におけるハロゲン化メチルの発生(23. 地球環境, 2006年度秋田大会講演要旨)
- 雑草モノグラフ : 2.オモダカ(Sagittaria trifolia L.)
- Chlornitrofen連用履歴のある水田および休耕田の土壌,藻類ならびに湿生植物中のダイオキシン類の分布状態
- 水稲葉身の方位別にみた微気象、光合成、および蒸散速度の日変化の差異
- 葉身の方位別にみた水稲個葉光合成速度および蒸散速度の日変化
- 間欠照射間隔の差異がイネ個葉の光合成および蒸散の効率に及ぼす影響
- 58 小型光センサーを用いた群落内光強度分布の測定法の検討
- 東北地域における帰化雑草ハルザキヤマガラシ (Barbarea vulgaris R. Br.) の分布
- 水田周辺の湿性植生が代かきによって流出した懸濁物質を捕捉する機能
- ミズアオイとコナギの種子の休眠, 発芽, 出芽特性の差異
- 92 水田におけるCNP由来のダイオキシン類の土壌残留と植物体への移行
- 水田におけるCNP由来のダイオキシン類の土壌残留と植物体への移行
- P37 ジュンサイを用いたスルホニルウレア系水稲用除草剤のモニタリング手法の開発
- 90 光量子センサーアレーを用いた水田田面光環境の多点計測
- ジュンサイを用いたスルホニルウレア系水稲用除草剤のモニタリング手法の開発
- 光量子センサーアレーを用いた水田田面光環境の多点計測
- オモダカ科雑草の繁殖特性
- ヘアリーベッチ(Vicia villosa Roth)を利用した水田における雑草抑制と水稲収量への影響
- 68 ヘアリーベッチを導入した水田における雑草抑制とイネ生育
- スルホニルウレア系除草剤に抵抗性を示すキカシグサ
- 除草剤抵抗性雑草の発生動向に関する先駆的研究(学会賞受賞業績)
- 野口弥吉名誉会員のご逝去を悼む
- 名誉会員草薙得一先生のご逝去を悼む
- ミズアオイとコナギの生育並びに種子生産に対する播種時期, 遮光および施肥量の影響
- 30 ビスピリバックナトリウム塩の法面・水田畦畔雑草抑草剤としての適用性 : 第1報 張り芝利用による水田畦畔雑草管理
- ビスピリバックナトリウム塩の法面・水田畦畔雑草抑草剤としての適用性 : 第1報 張り芝利用による水田畦畔雑草管理
- ミズアオイとコナギにおけるアイソザイムの変異
- ミズアオイとコナギの開花の日長反応特性
- ミズアオイとコナギの開花特性
- 89 ミズアオイとコナギの開花特性
- 水稲直播栽培の雑草防除に関する国際シンポジウムを開催して
- "Weed Research"第23巻1〜3号の内容紹介
- 種とは何か : 第23回講演会小集会報告
- "Weed Research" 第22巻1〜3号の内容紹介
- "Weed Research"第21巻1〜4号の内容紹介
- "Weed Research"第20巻1-3号の内容紹介
- "Weed Research" 第19巻1〜3号の内容紹介
- "Weed Research"第18巻1〜3号の内容紹介
- "Weed Research" 第17巻1〜3号の内容紹介
- "Weed Science"第16巻1〜3号の紹介
- 転換畑の水田への復元過程における硝化菌コミュニティと硝化活性の関係(2009年度大会一般講演要旨)