ブタMx1タンパク質の多型とウィルス抵抗性(生化学)
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概要
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Mx遺伝子は,I型インターフェロンによって誘導される遺伝子の一つで,一鎖1本鎖RNAウイルスの増殖を抑制する細胞内タンパク質をコードする.多くの近交系マウスにおいてMx遺伝子の一部に欠損や点変異が存在しており,ウイルス抵抗性に差があることが知られている.本研究では,ブタにおけるMx1遺伝子多型の有無を調べ,ブタMx1遺伝子導入細胞において,水疱性口炎ウイルス(VSV)の増殖抑制が見られるかどうかを検討した.ブタ腎細胞株PK(15)細胞由来のMx1遺伝子はカルボキシル末端側の11塩基が欠損しており,フレームシフトがおこる結果LLC-PK1由来のMx1タンパク質より23残基多くなることがわかった.さらにBALBc/3T3細胞にブタMx1遺伝子を安定発現させ、GFP遺伝子を持つ組み換えVSVを感染させたのち感染細胞を蛍光顕微鏡下で計測した.すると、Mx1遺伝子導入細胞では無処置細胞や空ベクター導入細胞に比べて有意に感染細胞数が減少していた.しかし、PK(15)由来遺伝子導入細胞と、LLC-PK1由来遺伝子導入細胞との間には、有意差は見られなかった.以上の結果から、ブタMx1タンパク質はVSV抵抗性作用を有することがわかった.またMx1遺伝子多型が存在したが、VSV抵抗性作用に差は見られなかった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2002-12-25
著者
-
渡辺 智正
北海道大学獣医学部実験動物学講座
-
浅野 淳
北海道大学大学院獣医学研究科実験動物学教室
-
浅野 淳
北海道大学 実験動物
-
Asano Atsushi
Department Of Biomedical Sciences School Of Veterinary Medicine Hokkaido University
-
浜島 紀之
(社)staff研究所
-
渡辺 智正
北海道大学大学院獣医学研究科実験動物学教室
-
高 在弘
北海道大学大学院獣医学研究科動物疾病制御学講座
-
両角 岳哉
STAFF研究所
-
浜島 紀之
STAFF研究所
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