中心窩における光幕光量に関する研究 I : 摘出した牛の眼球による測定結果からの検討
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概要
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以上の結果をまとめると以下のようになる。1)眼球摘出後の経過時間が眼球走光量に与える影響は, 眼球を0℃の生理的食塩水中に保存しておいた場合, 10時間以内, 特に5時間以内では無視出来る程度である。(図-2〜図-4)2)眼球迷走光量は光源偏角(θ°)によってかなり異なり, 視線近く(視線より10°以内)に光源があるときに著しい。(図-5)3)眼球迷走光の原因としては, 光源が視線から10°以内の場合は, 眼球光学系の歪, 視線から10°以上偏っている場合は, 眼球の角膜表面での散乱が主であると考察された。4)人工絞りによって虹彩が絞られて瞳孔径が小さくなった状態を造った場合, 眼の光学系で最も歪の多い周辺部を透過した光が遮断されているため, 眼球迷走光は著しく減少する。(図-6, 図-9)5)光源の大きさが眼球迷走光に与える影響は, 光源を視角1°の大きさに細分化し, その各部分に視角1°の光源で得た眼球迷走光量をあてはめて加算すると実測値とほぼ一致することから, 光源の各部分によって起こる眼球迷走光を総合することによって求められる。(表-4)6)光源偏角と牛の眼球の中心窩照度比との関係を求める実験式として次式が得られた。θ>1°のとき, E_θ/E_0=exp{(-lnθ)^3-0.25}+0.032θ^<-1.8>θ≦1°のとき, E_θ/E_0=exp(-0.17θ)この実験式値は, 実測値とよく一致する。(図-10)稿を終るに当り, 牛の眼球を提供してくださった大阪市食肉市場の関係者の皆様に心から感謝致します。また本研究を進めるに際し, 御指導・御援助戴いた大阪大学工学部教授伊藤克三博士, 有役な御助言を戴いた大阪市立大学生活科学部教授 大志野章博士, 医学部教授松山道郎博士, 大手前病院眼科 山地良一博士, 建築学会近畿支部環境工学委員会光分科会の諸先生方に深甚なる謝意を表します。更に種々御援助戴いた大阪市立大学生活科学部住居機構研究室の諸先生方に心から感謝致します。
- 1978-10-30
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