共同利用型病院 (医師会病院) における開業医の利用特性と役割に関する研究
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概要
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1)[I]グループの病院では, 豊富な医療設備・人材に裏付けられた, 病院の有する高度な検査・診断・治療機能を利用する目的で, 標傍科目の違いを問わず, 病床を多く持つ診療所や小病院の開業医が, 幅広く病院を利用している。共同利用型病院で手術を行う場合も, 高度な技術を要するため, 専任医に技術協力を依頼する必要があるとして, 病院を利用する例が多い。この結果, 医療技術の相互補完及び, 医療施設・設備・物資・人材の相互利用の場を確保すると言う, 医師に対する医療施設ネットワークの整備目標は, 一応達成されている。しかし, 共同利用型病院を核とした, 医療供給システムの中では, 相対的に, 専任医の役割が大きく, 開業医の役割は小さい, と言う印象は否めない。1-1)[I-A-b]タイプの病院は, 多くの開業医が, 均等に病床を利用している。患者にとっては, 連続的な医療サービスを受けることができるが, 開業医の役割は, ややもすると, 患者の入院先紹介に終ってしまう可能性を含んでいる。レジデント制度が導入されれば, 共同利用型病院でも, 開業医の役割がさらに増大するものと思われる。1-2)[I-B-b]タイプの病院では, 地域に不足する専門科目を, 共同利用型病院の専任医でカバーしているため, 地域住民にとっては重要な病院だと思われるが, 地域に病院病床数が少ないため, 開業医は, 高度な医療サービス以前に, 共同利用型病院の病床そのものを利用する必要性にせまられる場合が多い。より充実した施設となるためには, 多額の資金が必要であり, 人口集積度が低い地域では, 実現化が困難であろう。2)[II]グループの病院では, 病床を持たない, 一部の内科系開業医が, 率先して病院を利用している。この結果, 開業医が, 自分の施設での診療の合間に, 回診を行える程度の病状の患者を入院させ, 単純な病床利用を行うという側面が強い。手術でも, 自分の施設が満床で, 術後の患者を収容する余裕がない場合や, 麻酔医・補助看護婦が得にくいため, 人材のそろった共同利用型病院を利用する場合が多い。この結果, 開業医の医療技術補完の場というより, 病院の病床・手術室・人材を共同で利用する場であるという傾向が強い。しかし, 共同利用型病院を核とした医療供給システムの中で, 開業医の果たす役割は大きい。2-1)[II-B-a]タイプの病院では, 開業医が一貫主治医制を守るために, 病院を利用する場合と, 開業医間の技術補完の場として, 病院を利用する場合がある。病院の機能をより充実させるには, せめて非常勤の専任医を導入し, 医療水準を引き上げる必要があろう。2-2)[II-B-b]タイプの病院では, 地域に不足する医療供給量をカバーする目的で, 開業医が病床を利用する場合が多い。地域住民は, より高度の医療機能と, 多くの医療供給量を期待しているものと思われるが, 公的資金の導入がなければ, この実現は不可能であろう。3)共同利用型病院は, 開業医間の相互診療やグループ診療による技術補完や医療施設・設備・物資・人材の相互利用の場のみならず, 開業医の診療活動を一時期肩替りすることにより, 開業医の診療に時間的余裕を持たせる役割をも果たしている。このことは, 開業医の生涯教育を時間的に保障する場合の一事例として, 新しい方向を示唆している。
- 1982-03-30
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