鉄筋コンクリート床スラブの振動性状について
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概要
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以上, 種々の状態にある鉄筋コンクリート床版の振動の様態を調べ, 通常, 計測値と理論値間に差違を生じ易い幾つかの要因を取り上げ, その影響量について検討してきたが, その要点を列挙すると次の如くである。(1)大梁にのみ囲繞された床版の場合, 梁, 柱の変形が床版の振動性状に及ぼす影響は, 比較的小さく, 周辺固定床版の振動解に梁心スパンを採用して, その近似解とすることができるが, 梁内法スパンをとると, 大きな誤差を生ずる。(2)小梁付き床版の場合, その振動解に及ぼす各構造要素の影響は極めて顕著で, 単一床版を周辺固定と見做した場合とは全く異なる性状を示す。(3)在来用いられている寸度の中央部薄肉版の振動性状を計算する場合は, 厚肉部と薄肉部の自重差を無視して, 薄肉部の自重を用いても大きな誤差は生じない。(4)健全なRC床スラブの振動計測を行い, 各構造要素の変形を勘案した振動解に動弾性系数を適用すると, 割合よい近似度を示す。(5)超音波透過法によるコンクリートの動弾性試験は, 横波の伝播速度を正確に測定することが難しく, 動弾性係数は可成の誤差を含む可能性がある。(6)動弾性試験を実施し得ぬ場合には, 静的圧縮試験によって得られる初期接線弾性係数を2割増して動弾性係数とすると, 適当な値となり, 大きな差は生じないようである。(7)健全な床スラブの仕上げ材下地モルタルは, その厚さを加えて版剛度を計算すると, 実状に合うようである。(8)大撓みをもった損傷床スラブは, 殆ど例外なく振動障害を生じている。(9)損傷床スラブの1次固有振動数は, 沈下撓みの平方根にほぼ逆比例する。大撓みの発生によって, 1次固有振動数は健全時の30〜80%程度に低下する。(10)損傷床スラブの減衰定数は2〜8%程度で, 沈下撓みにほぼ逆比例する。(11)重量物落下時の損傷床スラブの振幅は, 沈下撓みにほぼ比例する。
- 1978-11-30
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