身障者の住生活空間に関する研究 (その 5) : 特目住宅の場合 2, 住要求と充足方法
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概要
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1)移行能力の低下による住み方への影響は, 歩行できる<A>・<B>までと歩行に代る手段及び介助に依存する<WI>・<WD>・<H>・<B>とで相違し, 前者では一般(健常者)世帯の住み方に近似し, 後者ではその差異が大きくなる。さらに後者でも自立度のより高い<WI>・<WD>と寝たきりに近い<H>・<B>とでは異なる。2)狭い2DK中心であってもDKで食事する割合は低く(約50%), これは特目居住の在身障者世帯のすべてがイス式でDKを使いこなすというレベルに至っていないことが第一の理由である。次いで移行能力別には, <WI>以下のDK使用は僅小となり, <WI><WD>では従前のDKの広さ・プロポーションが適切でなく, さらに住戸の主要部分が車イス使用可能になっていないためであり, <H>・<B>は寝たきり状態で居室からの移行が困難な点が, 第二の理由である。3)DKを使用するかしないかが, 食寝分離に直接関連し, 従って全体で食寝分離をしていない世帯が半数に及び注目される。移行能力別には<A>・<S>に食寝分離度が高く, <WI>以下では低くなり, <H>・<B>になると身障者の就寝室で世帯の食事まで行われる傾向が強まる。4)就寝室のとり方も移行能力に関係し, <A>・<S>は主室に, <WI>から以下は副室に就寝する比率が高い。これは後者で増えるベッド及び寝たきりの状態が目につくのを避けるためである。その副室は, 個室化され仕事場になり食事までも入ってくる傾向があり, 4.5帖では狭い。5)就労状況は世帯構成によって異なるが, 住戸内就労が身障者の就労に占める比重は大きく, 移行能力では<A>から<WD>までみられ, 移行障害の大きい<WI>・<WD>はすべてが住戸内となる。住戸内就労による稼得を主収入とする比率は高く, その結果仕事室の優先的専用化が目立つ。6)仕事室は副室を使用する比率が高く, 行為の集中は主室に生じ, その結果ワンルーム的な住み方を促す。7)1LDKは夫婦2人ないし単身者世帯用であろうが, LDKはベッドの置ける広さとプロポーションをそなえることにより有効性が高まる。また居室の方も就寝室としての最小限の広さが要求される。2DKは夫婦2人から成人率3.0人未満までは適合可能だが, 住戸内就労による仕事場確保の影響は避けられない。以上小規模住戸の場合は, 狭い空間を有効に且つワンルーム的使用を可能にする意味から, 居室間相互の仕切型より連続型の方に適合性が高い。8)居室に押入がない場合, 特に公的な空間となりやすい主室のみにしかない場合, 移行困難から一層食事や団らんと就寝との重複を生じる原因になる。9) DKの条件としては, DKと隣接する居室との連続性を高め, 在住時間の長さから北側でなく, (特に車イス用には)余裕のある広さとプロポーションが求められる。10)2UDKのUは, 他の用途に使用しにくく, 玄関から近くて居室を通過する必要がなく, 公的空間となるヘヤから独立していることもあり, 他の影響を与えることなく, 仕事室として専用化できる住戸内就労向住戸の参考となる。
- 1976-01-30
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