乳牛に対する濃厚飼料少量給与の影響
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概要
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産乳効率を上げるため、乳牛には適当量の濃厚飼料の給与が慣例となっているが、産乳能力の比較的高い牛群に対する濃厚飼料の無給与または少量給与の影響については、報告が少ない。そこで筆者らは、東京大学農学部付属農場のホルスタイン種牝牛(系、雑種を含む)24頭を2群に分け、1群を対照区として同農場の慣行法で飼養し、他方を試験区として濃厚飼料を制限し(1kg/頭、日)、反転法を用いて2年間飼養した。給与粗飼料は、主として自家産の牧草、青刈作物およびそれらのサイレージで、収穫不能日にはその代用として流通粗飼料を給与した。そして供試牛は個体ごとに体重(2ヶ月ごと)、乳量(1週ごと)、乳脂率と乳固形分率(1ヶ月ごと)を調べ、また分娩の経過、その後の発情回帰、受胎成績も、あわせて調査した。その結果、まず濃厚飼料の少量給与によって、分娩時の疾病発生は少なく、繁殖成績も向上する傾向が認められた。次に体重は、濃厚飼料少量給与区が慣行区に比べやや小さかった(P<0.05)が、試験年度間の差異も認められた。乳量は、濃厚飼料少量給与によって大幅に減少し(P<0.005)たが、短期的には給与される粗飼料の種類と品質による差異も認められた。乳脂肪率と乳固形分率については、産次と泌乳時期がほぼ一致する3対計6頭を対象として比較したが、明確な差異は認められなかった。乳脂補正乳量の正確な比較はできなかったが、乳量に大きな差異のあったことから、同補正乳量についても濃厚飼料少量給与により大きく減少することが、推定された。
- 1980-03-07
著者
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坂本 晴一
東京大学農学部附属農場
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小林 茂樹
東京大学農学部附属農場
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矢島 経雄
東京大学農学部附属農場
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下田 和雄
東京大学農学部附属農場
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稲生 英夫
東京大学農学部附属農場
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秦野 茂
東京大学農学部附属農場
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坂本 晴一
東大 農 農場
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