核融合炉工学「共同研究拠点」の整備について : 核融合研究連絡委員会報告(案)
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概要
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1,核融合炉工学(特に大学における)研究の必要性 核融合研究開発はここ数年世界的に急速な進展を遂げつつあり,我が国では今後日本原子力析究所を中心とした「国際熱核融合実験炉(ITER)」の工学設計活動(EDA)および文部省核融合科学研究所における「大型ヘリカル装置(LHD)」の建設を軸にして研究開発が進められよう、このような動向に適切に対処するためには,大学において実験炉以降を展望した「核融合炉工学」の研究を先導的に実施し,革新的技術のシーズを用意するとともに,高度技術としての核融合炉工学の体系化を図ることが必要である.また,今後長期にわたり核融合研究開発を支える優秀な人材を養成すべき大学の使命からも,教育内容の充実につながる研究の推進を重視しなければならない. 2.大学における核融合炉工学研究の進め方 大学における工学研究は研究室単位の研究,中規模の施設を擁し拠点的に推進すべき研究(拠点研究)及び大規模な中枢的研究の三つがあり,これらをバランスよく進める必要がある.この視点から,今後約10年間は上記の拠点研究に相応しい重点課題を絞り,人的資源の活用,資金の有効利用,共同研究の推進,将来センター・オブ・エクセレンスに発展する可能性等を勘案して,全国に数箇所の共同研究拠点を整備し,その問にネットワークを形成して核融合炉工学研究を重点的かつ組織的に推進する. 3.核融合炉工学重点課題の選択と「共同研究拠点」の整備 今後,大学において重点的に追究すべき課題は,粒子・第一壁工学,重照射材料工学,ブランケット・安全工学,トリチウム理工学の4分野である.各大学における研究実績,概算要求計画等を勘案して,別表に示す7つの共同研究拠点の重点整備を提案する.これらの共同研究拠点に整備される研究設備は今後約10年にわたり,上記分野にまたがる研究に重点的に活用され,核融合原型炉設計開始時期と想定される2005年頃までを目途として,その設計に必要な工学的知見を提供することを目標とする.予算規模は総額で約200億円程度であり,第一期と第二期の2つに分けて整備する. 4.「共同研究拠点」の有機的運用 上記数個の共同研究拠点間のネットワーク的運営・研究企画を行うことにより研究交流,人的交流を活発化し,研究の効率的推進を図り,人材養成に対しても横断的大学院教育研究等多様な対応ができる組織を構築する.このようなネットワーク的運営,研究交流の企画推進のための「中枢センター」を設置する.
- 1994-05-25