コナダニ類の繁殖条件の研究 VIII : コウノホシカダニの繁殖とその年齢構成について
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概要
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コウノホシカダニのヒポプスの成因を探る手掛りとして, その繁殖状況とくに年齢構成と湿度および飼料との関係について検討した.飼育条件は相対湿度を64%, 75%, 85%, 94%の4種に定め, 温度25℃と一定した.飼料は乾燥酵母剤に乾熱滅菌した(120℃30分)煮干しの粉を10 : 0, 8 : 2, 6 : 4, 4 : 6, 2 : 8, 0 : 10の割合に混合し, 水分含量を16%としたものを用いた(以下煮干し含量により0%, 20%‥‥飼料と呼ぶ).飼料10gにコウノホシカダニ約300匹を接種した.94%R.H.では2週で, やや増殖がみられたが, 以後ダニ数0となつた.繁殖数は85%R.H.において最高を示し, とくに100%飼料では4週で1640匹/0.5gのダニ数であつた.その繁殖期間は短かく, すべて5週で死滅した.75%R.H.における繁殖密度は各飼料とも, 85%R.H.のものに及ばなかつたが, 繁殖期間は長く, 40, 60%飼料では11週まで生存した.またこの湿度では飼料の煮干し含量の多くなる程, 繁殖最高密度に達する時期の早くなるのが観察された.64%R.H.においてはコナダニは繁殖せず2週で死滅した.湿度75%R.H.におけるコウノホシカダニの年齢構成では, 各飼料とも繁殖密度が最高に達するまでは, 幼虫の多い拡大期か, または各期のダニが平均して存在する安定期の状態を示した.繁殖最頂期以後は第2若虫, 成虫の多い老衰期の集団となつた.40, 60%飼料における生存期間の長い集団では9週で再び幼虫の多い拡大期に入つたが, ダニ数は変化なく, 次週は再び老衰期にもどつた.湿度85%R.H.における年齢構成の変化は飼料の成分によつて二つの型が認められた.0〜6%までの飼料は2週では拡大期であつたが, 3週では逆に成虫の多い老衰期となり, 4週では安定期となつた.80, 100%飼料における2週の集団構造はそれぞれ拡大期, 老衰期を示した.3週では両者とも老衰期を示し, とくに100%飼料ではその傾向が強かつた.4週になると何れも拡大期となつた.ヒポプスの出現率は湿度75%R.H.の80%飼料において最高で, 4週以後10%以上の値を示した.他の実験湿度での出現は殆どなかつた.
- 1966-10-31
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