蚊の捕食者としてのゲジ
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概要
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ゲジThereuonema hilgendorfi Verhoeffが蚊の捕食者としてどの程度天敵の役割を果たしているかを知るために, いくつかの室内実験を行って, その活動時間およびいろいろな密度条件における捕食量を推定すると同時に, 野外で採集したものについて胃の内容物を調べた。すす紙についた足跡の数から見て, ゲジは夜間, とくに前半夜に活発に動きまわることがわかった。ゲジ(捕食者)にアカイエカCulex pipiens pallensを餌として与えた場合, 捕食される蚊の数(n)は経過日数(t)の指数関数n=N[1-exp(-a・t)]として表され, 餌密度(N)と捕食効率(a)によって捕食蚊数が変化することがわかった。捕食者と餌の密度をいろいろと変えて実験を行った結果, 捕食される蚊の数は捕食者の密度が同じ場合は餌密度が高いときに, また餌密度が同じならば捕食者密度が高いときに, それぞれ多いものと考えられ, 捕食蚊数は平均温度17.5∿25.0℃下でゲジ1匹1日あたり0.3∿1.3匹と推定された。11月に越冬アカイエカとゲジが棲息する防空壕からゲジを採集し胃の内容物を調べたところ, ほとんどのゲジから蚊の断片が見つかり, 平均2匹ほどのアカイエカが1匹のゲジによって捕食されていることがわかった。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1982-03-15
著者
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