室内に於ける音響ヱネルギー密度の分布、並びに餘響に就いて〔オーディトリアムの音響的設計の理論的基礎 その三〕
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概要
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一般に吾人が扱ふオーディトリアムは、音響的には反射率大にして且つ普通の音波長に對して鏡面反射性を持つ壁面と、反射率小にして且つ普通の音波長に對して完全擴散反射性を持つ聽衆面との二種類の面から構成された空間であるとの認定の許に、その内の一點に一定の繼續音源を入れた場合の各位置についての平衡状態に於ける音響ヱネルギー密度の分布を、先づ斯る環境條件を具備する球状室の各場合に就いて理論的に求め、その各々の結果が吾人の當面するオーディトリアムの夫々の形式に略適用し得る事を確かめ、室の形態及び周壁の音響反射性状によつて音響ヱネルギー密度の分布が明かに異る事を示した。而して意識的に音響上良く設計せられたるオーディトリアムに於いては、室内の平衡状態に於ける音響ヱネルギー密度は、各位置に就いて、(1) 直接音によるもの [音源よりの距離によつて宿命的なる値] (2) 鏡面反射性壁面(天井側壁等)よりの有力なる一囘反射音の集積によるもの [周壁の形態及びその反射率に依存する値で、技術的にある程度迄調節し得るもの] (3) 一且擴散反射性面(主として聽衆面)より擴散反射したる後の反覆反射音の總和によるもの [室内の位置に關係なくほゞ一定なる値] の三部から構成され、其の値は室内を通じて明かに(1)及び(2)の因子によつて異る事を知つた。次いで斯るオーディトリアム内に於ける餘響は(2)の勢力の急激且つ段階的なる初期に於ける減衰と、(3)の勢力を初強として連續的に一定に減衰するものとの二様式の結合から成り、吾人が餘響として如實に感受するものは後者であつて、其の故に餘響時間は位置に關係なく一定である事等の新しき概念を得た。
- 1933-06-05
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