セラム島・アンボン島(モルッカ諸島, 東マレシア)の蘇類の分類学的研究I
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概要
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筆者は1984年・85年及び1986年にモルッカ諸島・アンボン島において蘇苔類相の調査をおこなった。セラム島は四国ほどの大きさで,ほぼ全島が石灰岩よりなる。最高峰ビナヤ山は3000mに達し,そこにはニューギニア高地と似た木生シダの疎林が見られる。一方アンボン島はセラム島のすぐ南に位置し面積はずっと小さい。我々の調査は海岸から最高峰の頂にわたっておこなわれた。採集した蘇苔類標本は両島からおよそ5000点であり,おおよそのフロラ解明に貢献できるものと考える。本稿ではミズゴケ科(1層1種),キセルゴケ科(1層1種),イクビゴケ科(1属2種),スギゴケ科(3属9種),Leptostomataceae(1属1種),Drepanophyllaceae(1属1種),Sorapillaceae(1属1種),Ptychomniaceae(1属1種),Spiridentaceae(1属1種),Leucomiaceae(1属1種)そしてキダチゴケ科(1属8種)を報告する。セラム,アンボン両島はその位置からみて,ニューギニアのフロラと強い関係を持つことが予想されるが,我々の得た結果も同様であった。すなわち,これまでニューギニアあるいはそれより東の地域でのみ知られていたHypnodendron auricomum, Leptostomum intermidium, Dawsonia papuana, Sorapilla papuanaが見つかっている。一方Hypnodendron milenei ssp. korthalsiiのようにマレシア地域に広く分布する種がここで途切れる例もあり,フロラの特徴を知るには今後多くの種について研究する必要がある。
- 日本植物分類学会の論文
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