ネパールにおける降雨変動と食糧生産変動
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概要
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ネパールにおける降雨変動と食糧生産との関連を明らかにすることを目的として, 山岳地帯を除く11開発地区別に, 降雨変動は平均降雨量からの差, 栽培面積変動及び収量変動は5ケ年移動平均からの差で示し, 両者の相関分析を行なった.1971〜1986年の年降水量の変動係数は11〜20%で, 年次変動は相対的にタライで大きく, その中でも西部でとくに大きい.夏季モンスーン期の降雨パターンを見る7月の降雨は比較的安定的であるが, 6月と8月雨変動が大である.5月から8月の月別降雨量と作物栽培面積の相関を見ると, 稲とシコクビエはほとんど相関なしで, トウモロコシは7月の降雨量と負の相関を持つ.稲とシコクビエの栽培面積は作付時期雨量に応じて決定されるというわけではない.7月の降雨が十分であ, トウモロ稲へ作付が転換される.また, 同期の降雨量と単位面積当り収量の相関は, 稲の収量は8〜9月の降雨量と正の相関を持つが, トウモロコシの収量は6〜7月の降雨量と負の相関を持つ.シコクビエの収量は降雨量と相関がない.稲の栽培面積の固定性が収量変動に大きく作用している.東部・中央部タライはネパールの穀倉地帯であるが, 降雨変動の影響を相対的に強く受け, その結果, ネパールの食糧事情に重大な影響を及ぼすのである.
- 1991-03-01
著者
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