ファレノプシス(Phalaenopsis Hybrid)栽培における数種培地資材の理化学的特性と生育に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ファレノプシス(Phalaenopsis Hybrid)の栽培は,近年,気候が温暖で人件費が安い東南アジア,特にマレーシアや中国南部で盛んになってきている.その培地にはミズゴケが多く利用されているが,高価な点や資源枯渇などの点から新しい培地資材の検討が必要とされている.そこで本研究ではロックウール,スギガワ,ヤシガラおよびピートモスを供試し,それらの保水・硝酸態窒素保持能力を調査した後,ファレノプシスを栽培して,ミズゴケに代わる新しい培地の可能性について検討した.保水能力は培地により大きく異なっており,ピートモスで高く,スギガワで低くなった.pFと鉢内水分量の関係から,鉢内水分量が40%以下になった時点を潜水適期と判断した.一方,いずれの培地も1鉢あたり200ml,1〜2回の灌水により,施用量のほとんどが流出し,硝酸態窒素保持能力は低かった.また,鉢底から流出する硝酸態窒素量とECには高い正の相関関係(r=0.99)が認められ,ECを測定することにより,施肥時期を決定できると考えられた.以上の実験から得られたデータを基に,培地ごとに適した灌水および施肥回数によりファレノプシスを栽培した結果,ピートモスでの生育は劣っていたが,他の培地ではミズゴケの生育とほとんど違いが認められなかった.熱帯地域におけるランニングコストや培地入手の難易などを考慮した場合,ヤシガラが培地として十分に利用できると思われた.
- 2004-03-01
著者
関連論文
- コチョウランの大量増殖技術の確立に関する研究
- コチョウラン(Phalaenopsis 属)の発芽と初期生育における播種密度の影響
- ファレノプシス(Phalaenopsis Hybrid)栽培における数種培地資材の理化学的特性と生育に及ぼす影響
- 炭素源の種類がファレノプシスの初期生育に及ぼす影響
- 19. ファレノプシスの生育におよぼす固形肥料の影響
- 20. ファレノプシスの未熟種子の発芽と初期生育におよぼす播種密度の影響
- DoritaenopsisとPhalaenopsisの花茎由来の腋芽および腋芽茎頂培養における交雑種間差異
- キンラン属(ラン科)における種子形成過程と未熟種子の発芽に関する研究
- 44. 無菌培養における培地支持体がカラジウムの生育に及ぼす影響(日本熱帯農業学会第96回講演会)
- 中国北西部(新疆ウイグル自治区)天山山脈高山帯から平地荒漠地帯の植生と土壌環境に関する研究
- サイハイラン未熟種子の無菌発芽
- 殺菌処理の違いによるシランの種子発芽とTTC染色の関係
- キンランおよびサイハイランの採種方法の検討
- ケヤキ(Zelkova serrata Makino)萌芽の発生機構
- ヒノキ天然紋品種の発根特性
- キンラン(Cephalanthera falcata:ラン科)の自生地環境とフェノロジーおよび埋土法による自生地播種試験
- 中国北西部天山山脈東端山麓部周辺における環境傾度と植生
- ケヤキ(Zelkova serrata Makino)水さし枝の萌芽性
- 東京都内の雑木林におけるキンラン移植株のモニタリング結果と知見