ポリオレフィン被覆肥料の利用 : 西アフリカ砂質低地のインディカ稲作改善のために
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概要
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西アフリカの内陸谷地小低地(IVs)のような砂質土壌における天水条件での稲作において, 肥料特に窒素の施肥効率を改善することは重要である.西アフリカのIVsの土壌と類似した理化学性をもつ日本のマサ土(砂質Entisols)を供試土壌として用いてポット試験を行った.また, 溶脱のほとんどない湛水条件と過大な漏水のため湛水せず間断的な溶脱が起こる不良な水制御条件の結果を比較した.緩効性肥効調節型窒素肥料であるポリオレフィン被覆肥料(LPSS-100)をIR36(インド型, Oryza sativa L.)の栽培実験に用いた.LPSS-100処理区において初期約40日間は草丈と分げつ数は小さく, その後成長が旺盛となり尿素処理区より大きくなった.葉色計(SPAD502)を用いて葉クロロフィル量を測定した結果, LPSS-100処理区は全生育期間を通して尿素処理区よりも高い葉中窒素濃度を維持することを示し, LPSS-100処理区は湛水条件および間断的な溶脱条件の両方において籾収量は有意に高かった.また, LPSS-100処理区では平均62.9%の窒素利用率を示し尿素処理区の平均30.7%より高かった.窒素6g・m^<-2>施肥による籾増収率は, LPSS-100処理区36g・g^<-1>N, 尿素処理区20g・g^<-1>Nであった.尿素とLPSS-100の効果について, 水管理条件による違いは有意には認められなかったが.LPSS-100の効果は全般的に尿素を上回っていた.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 2001-06-01
著者
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若月 利之
島根大学生物資源科学部土壌圈生態工学研
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増永 二之
島根大学生物資源科学部
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林 慶一
国際農研
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林 慶一
Jircas
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Fashola O.o.
島根大学生物資源科学部
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林 慶一
島根大学生物資源科学部
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