ポット栽培トマト苗の生育, 水消費, 窒素栄養物に及ぼす土壌水分収支パターンの影響について
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概要
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条件を制御したポット栽培により, 25日間育苗したトマト苗(Lycopersicon esculentum Mill., ハウス桃太郎)を25日間にわたり生育させた.この栽培は, 土壌水分低下量(DCCM)が, 容器容量(CC)の75,50,25%に達したとき灌漑を行うという3つの異なる土壌水分収支(SMR)条件の下で行った.灌漑により根群域でより多くの水が利用可能となる場合, 周期的な蒸発散(ET)速度も平均して高く, 移植後(DAT)25日間の積算蒸発散量も高い結果が得られた.トマトの各器官における生重及び乾重生産量ならびに水分消費効率は, CCレベルからの土の乾燥を最小に抑え頻繁に灌漑した個体で顕著に増加した.厳しい水分ストレス条件においた場合, 生重及び乾重生産量が著しく減少したことから, トマト苗は水分ストレスに対する反応が鋭敏であると示唆された.一方で窒素の吸収量は, 土壌水分量を増すことにより個体の各器官で促進された.このように生重及び乾重生産量と水消費量, 窒素吸収量との間に有意な正の相関が認められた.灌漑を25%DCCMまで見合わせるような土壌水分収支型が, 生重及び乾重生産, 窒素吸収, さらに水・窒素の利用効率という点で最適の結果となった.それゆえ, トマト苗をポット栽培する場合, 使用可能な水が十分にある条件下ではDCCMを25%以下に維持すべきであり, 使用可能な水が制限される場合にもDCCMを25〜50%の範囲に維持すべきである.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 2000-03-01
著者
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