オオムギにおける優性の半矮性突然変異の誘発
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概要
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開発途上国におけるオオムギの自給率向上のために多収性品種が必要であり, その1つとして, 一代雑種品種の利用が考えられる.一代雑種品種による多収性を図る場合に, 優性の半矮性遺伝子を両親のいずれかに利用できれば, 一代雑種の耐倒伏性を向上させる上で有利である.しかし, オオムギでこれまでに実用可能な優性の半矮性遺伝子の報告はない.そのため, 突然変異処理による優性の半矮性遺伝子の誘発について検討した.オオムギの遺伝子雄性不稔系統について, 25kRのガンマー(γ)線照射処理, 25kRと30kRのγ線累代照射処理ならびに4mMおよび8mMのアジ化ナトリウム(NaN_3)処理を行った.これら突然変異処理当代の種子を圃場に播種して生育させた.誘発された半矮性遺伝子の座乗染色体あるいは連鎖関係を確認する目的で, γ線照射処理および累代照射処理した個体を重複標識遺伝子系統に交配し, NaN_3を処理した個体をMars由来の相互転座系統と放任受粉させた.γ線照射処理, 累代照射処理および4mMのNaN_3処理後代には, 半矮性突然変異体は出現しなかった.一方, 8mMのNaN_3処理個体に相互転座系統を放任受粉して得たF_1に6つの半矮性個体が出現した.その出現率は0.28%であった.これらの半矮性個体は, 正常型に比べ第2節間の著しい短縮が認められた.誘発された半矮性は優性の主動遺伝子(D)に支配され, 第6染色体に座乗している橙色頴遺伝子および雄性不稔遺伝子ならびに第7染色体に座乗している滑芒遺伝子とは独立遺伝することが明らかとなった.さらに, ジベレリンに対する半矮性遺伝子の反応を調査した結果, 半矮性遺伝子(D)はジベレリン感受性であると推定した.以上の結果から, NaN_3処理によって, ジベレリン感受性で, 1優性遺伝子に支配されている半矮性突然変異が誘発されたことが明らかとなった.
- 1998-12-01
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