オオムギにおけるF_1種子生産の技術開発
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概要
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オオムギの一代雑種種子の効率的な生産に必要な技術開発研究として, 受粉生態学的研究と受粉特性の遺伝子分析を行い, 次の結果および結論を得た.1.昼夜間における花粉の受粉寄与率を知るために, 花粉トラップ実験を行った.昼間は花粉量が多いが, 風速も大きく, ほとんどの花粉が他花授精に寄与できず飛散する.夜間は花粉量が少ないが, 風速が小さく, 飛来した花粉が有効に他花授精に寄与することができると推定できた.2.外部花粉の受粉を防ぐために, 一代雑種種子の採種圃を植物で囲む場合, 3列の長稈植物のライムギを栽植すれば外部花粉の受粉を防御できることが判った.3.一代雑種種子を採種圃で, 純度が高く, 効率的に獲得する技術として, 雄性不稔種子親と花粉親を交互に栽植して, 採種圃の周辺に3列のライムギを栽植する方法が考案された.4.国内の品種・系統のほとんどが閉花受粉特性を持っていて, 国外の品種・系統のほとんどが開花受粉特性を持っていることが明らかになった.なお, 中間型を示した全ての品種・系統は渦性・密穂と並性・密穂であった.5.ミサトゴールデンにさつき二条を交配したF_1にミサトゴールデンを戻し交配した雑種第2代の遺伝子分析結果は, 開花受粉性が劣性の単因子支配であることを明らかにした.6.現在の国内のオオムギ品種・系統のほとんどは閉花受粉性を示すが, 開花受粉性は単因子劣性遺伝子により支配されているので, 優良な花粉親系統の育成は困難でなく、多様な系統育成が可能であるとの結論に達した.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1997-12-01
著者
-
廣瀬 昌平
元日本大学生物資源科学部
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倉内 伸幸
日本大学生物資源科学部
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廣瀬 昌平
日本大学生物資源科学部
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倉内 伸幸
日大生物資源
-
牧野 徳彦
農水省 農業研究センター
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牧野 徳彦
農業研究センター
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