移植水田に出現する雑草の密度, 乾物重並びに発生度
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概要
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バングラデシュでは3季の稲作が行われているが, 特に生育期間が7月から11月である移植水稲(通称アモン稲)は, 雨季であるために雑草の繁茂が著しく, その防除対策が問題となっている.そこで, 雑草の発生に稲の株間隔並びに施肥が与える影響につき試験を行った.バングラデシュでは, 一般に畝間間隔は20〜25(cm), 植え付ける株間間隔は土壌の肥沃度に応じて10〜30(cm)とされている.そこで, 畝と稲株の間隔がそれぞれ20×10(cm), 25×15(cm)及び30×20(cm)である試験田を設け, それぞれの試験田でさらに窒素肥料を0,40,60,80,100(kg/ha)施用した試験区を設けて実験を行った.(標準施肥量は60kg/ha〜80kg/ha)同様の試験区は4連設け, 各試験区における雑草調査は3箇所ずつ100×100(cm)の範囲について行った.調査は, 雑草の個体数, 乾物重及び繁茂度(水稲1株当たり雑草の個体数)を, 水稲移植後25日目(W_1)並びに45日目(W_2)にそれぞれ雑草を全て抜き取って計測した.6科に属する9種の雑草が確認され, 雑草の発生は水稲の株間隔の増大と有意な関係において増大し, かつまた窒素量の増加とも直線的な関係により増大した.この場合, 水稲の生育度合(の影響と考えられる)によって, W_1の方がW_2に於けるよりも雑草量が多い傾向を示した.1ha当たり窒素施用量1kgの増加により, 雑草密度(AD : 個体数/m^2)はそれぞれ0.422(W_1)及び0.200(W_2)増大し, 乾物重(DM : g/m^2)は0.068g/m^2(W_1)及び0.061g/m^2(W_2), そして発生度(II : 個体数/水稲1株)は0.018(W_1)及び0.010(W_2)いずれも増大した.窒素量(N)とAD, DM及びIIとの間には, 高い相関で(r^2;0.937〜0.852)1次の関係式が得られた.これらの結果は, 同様な生育環境下にあって, 移植田における雑草の発生が, 水稲の株間隔並びに窒素施用量と密接な関係にあることを示した.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1996-09-01
著者
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