粉粒体の圧縮成型に関する研究(第9報) : 粉粒体の圧縮状態方程式に関する理論的考察
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概要
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粉粒体の圧縮に関する研究の中で最も基本的であり, 最も多く, また古くから研究されているものは, 圧縮圧力と粉粒体の見掛容積との関係, すなわち粉粒体の見掛圧縮状態方程式(圧縮実験式)に関するものであり, 代表的なものだけでも十種を越える.圧縮に伴なう粉粒体層の見掛容積の減少は圧縮圧力範囲を限定すれば通常実験的にはこれらいずれかの式に近似的には適合するのであるが, 粉粒体の内部構造の変化は被圧縮物の物性や各圧縮圧力範囲などの圧縮条件によりかなり異なるのであって, その全領域を簡単な一つの式で表現することには疑問がもたれるのは当然であり, 同一試料でも充填条件をも含んだ圧縮条件によって適用し得る圧縮実験式が異なる場合が往々にしてある.すなわちこれらの圧縮実験式は第6報で指摘したごとく対象となる被圧縮物の物性や圧縮条件内における圧縮圧力と平均見掛容積との関係, つまり見掛の圧縮状態方程式であり, 真の意味での粉粒体の圧縮状態方程式ではない.粉粒体の圧縮状態方程式に関する実験式, 理論式をもう一つの見方で分類すると圧縮過程が一つの過程から成立っていると考えるものと, 圧縮過程が無限に多くの過程が連続的に起っているが近似的には1-3項を考えれば十分とするものがあるが後者の方が合理的な考え方と考える.粉粒体の圧縮状態方程式に関する理論はここ数年間にいくつか発表されている.そしてその取扱い方は基本的には粉粒体をマクロ的に連続体とみなして全体としての特性から考察して行く立場と粉粒体をミクロ的に不連続体と考えて取扱って行く立場との二つの立場がある.しかしこれといって一般に認められるまでには到っていない.今回は前者の立場をとり前述したごとき点を考慮して理論的に考察し, 単位質量の位置エネルギーという共通の概念を導入することによって, 従来提出されているすべての圧縮実験式に対応する粉粒体の圧縮状態方程式を導き出すことができたので, その詳細を報告するとともに, 圧縮時間, 圧縮温度をも考慮して圧縮状態方程式の拡張について考察する.
- 公益社団法人日本薬学会の論文
- 1972-06-25
著者
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