女子大学生への「痛み刺激」に対するアロマセラピーの効果
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概要
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本研究は, 疼痛緩和効果があるとされる芳香物質(真正ラベンダー油)を用い, 健康人の感じる実験的痛みが緩和するか否かを検証したものである。24名の女子大学生(以後, 被験者と略)を対象に, 痛覚刺激に反応を示した被験者19名のデータを分析した。実験的痛みは白熱電球による刺激とし, 痛みの程度は100mm Visual Analog Scale (VAS)を用い, 痛みを感じるまでに要した時間(以後, 痛み知覚所要時間と略)も測定した。被験者が吸入法によるアロマセラピーをする前を対照, 後を介入として生理学的指標(血圧・皮膚表面温度・心拍数・筋電図)の値を評価した。介入後, 痛み知覚所要時間が時間経過と共に有意な延長を示し, 基準時間でのVAS値も有意な低下を示したことから, アロマセラピーにより痛みを知覚する閾値の上昇が得られるという結果を得た。さらに, 月経周期(高温期・低温期)別で集団の傾向をみたが, ともに顕著な疼痛緩和効果が得られた。本研究手法において, 真正ラベンダー油を用いたアロマセラピーが, 生理学的指標には影響することなく, また, 月経周期に影響されることなく痛みを緩和できるという結果を得た。