周産期の実母との関係性が産褥1ヵ月の褥婦のメンタルヘルスに及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は, 周産期における実母の支援と母娘関係およびこの関係性と産褥1ヵ月の褥婦の心理的適応との関連について検討することを目的とした。方法は, 妊婦293名への妊娠末期と産褥1ヵ月の2回(回収率86%)にわたる自記式質問紙調査である。パス解析の結果, 妊娠期および産褥期の「実母の支援」は, 初産婦・経産婦ともに妊娠末期および産褥1ヵ月時の母娘関係の「親密性」と「依存性」に正の影響を及ぼしていた。さらに正の影響を受けた「親密性」と「依存性」は, 産褥1ヵ月時の褥婦の不安や抑うつ状態に対して, 「親密性」は負の影響, 「依存性」は正の影響と相反する影響を及ぼしていた。また, 産褥期の実母からの「家事支援」は, 初産婦・経産婦ともに直接的に, さらに「親密性」を介して間接的に産褥1ヵ月の不安や抑うつ状態に負の影響を及ぼしており, この影響は初産婦より経産婦に強く認められた。以上より, 褥婦のメンタルヘルスケアにおいては, 周産期における実母との関係性とそれを規定する実母の支援を考慮することの重要性が示唆された。