ラット全胚培養法によるビタミンA誘発二分脊椎実験モデルの開発と発生病態分析
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概要
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二分脊椎の発生病態を研究する目的で,ビタミンAを催奇因子とし全医培養法を用いた二分脊椎モデル作成を試み,その発生病態を形態学的見地から分析した。方法として,妊娠9.5日及び10.5日目にラット母獣より胎仔を取り出し,前者は48時間又は72時間,後者は24時間又は48時間全胚培養した。培養法はNewの方法に準じて行い,培養液中に各濃度のビタミンAを加えた。培養終了後,胎仔の発育状態を特に神経管尾側端の閉鎖状態に注目して実体顕微鏡下で観察し,固定・染色の後光学顕微鏡下で組織学的検索を行った。結果として,ビタミンA100単位/ml中で妊娠9.5日目から48時間培養した例において,神経管は未閉鎖状態であり,組織学的に神経板の著明な挙上・脊索の巨大不整化等の変化を認め,72時間後も同様の所見であった。妊娠10.5日目より培養を開始した例では,ほとんどビタミンAの影響は受けていなかった。以上より,全胚培養法を用いた二分脊椎モデルは,その発生病態解析には非常に有用な方法であると思われた。本モデルにおける組織形態学的変化の中で,二分脊椎発生病態に関し最も重要と思われた所見は神経板の挙上であり,これにより神経管の一次的な閉鎖障害を生ずるものと考えられた。また,脊索の変化が関与する可能性も示唆された。二分脊椎発生に関し,神経管形成後期ではもはや催奇因子の影響をほとんど受けなくなっている事も示された。
- 神戸大学の論文