エルカトニン静脈内投与のヒト胃内PHに及ぼす影響
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概要
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カルチトニンの胃酸分泌に対する影響を検討するため,合成ウナギ・カルチトニンであるエルカトニン(【Asu^1,^7】-eel calcitonin) を,種々の胃内pHを示す21症例に静脈内投与し,投与後の胃内pHの変化と同時に血中のガストリン,セクレチン,ベプシノーゲンI,カルシウム,リンの変化を経時的に測定した。エルカトニンの投与により,pH値の上昇とともにガストリン値の低下がみられ,いずれも推計学的に有意であった。さらに,これら両者の間には有意な負の相闘が認められた。次にこれら対象症例を,投与前の胃内基礎pH値により2群に分け検討したところ,投与前のpHの低い高酸分泌群では,速やかな有意なpH値の上昇とともに明らかなガストリン値の低下がみられたが,投与前のpHの高い低酸分泌群では,pH値ガストリン値ともに有意な変化は認められなかった。血中セクレチン,ベプシノーゲンI値には両群とも変化はなく,血中カルシウム値の低下も見られなかった。以上カルチトニンは胃酸分泌を抑えると同時にガストリン分泌をも抑制することが明らかとなったが,その酸分泌抑制機序の1つとしてガストリン分泌の低下が考えられた。
- 神戸大学の論文