左室機能障害例における運動時心拍出の維持機序 : R1アンギオグラフィーと観血的血行動態からみた右室機能との関係
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概要
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[目的]左室機能障害例の運動時心予備能に右室機能がいかなる影響を及ぼすかを検討した。[方法]左室収縮力障害を主病態とする陳旧性心筋梗塞,拡張型心筋症計31例を対象とし,エルゴメーターによる自覚的最大負荷にてRIアシギオグラフィーと観血的血行動態測定を行った。[結果]対象のNYHA機能分類はI度12例. II度12例. III度7例であった。対象を安静時左室駆出率(LVEF)40%以上で左室機能の保たれたI群(n=16)と40%未満で障害されたII群(n=15)に分類した。I群はII群に比し,最大心拍出係数(Clmax)が有意に大であったが,同時に右室駆出率(RVEF)もLVEF同様I群で有意に大であった。そこでRVEFの影響を検討するため更にII群を,RVEF≧30%の右室機能障害軽度なA群(n=7)とRVEF<30%の障害高度なB群(n=8)に分類した。AB再群間ではLVEFに差はなく,NYHA機能分類にも差を認めずいずれもI度II度が主体を占めた。運動時心予備能を表すClmaxと最大一回拍出係数はAB両群簡で差がなく,運動時右室後負荷を示す肺勤続圧および総肺血管抵抗にも差を認めなかった。[結論]本研究の結果左室機能障害例特にLVEFの低いII群において,RVEFの差は運動時心予備能に影響を及ぼさなかった。本研究では対象が主として比較的襲症な代償性心不全例で占められており,右室後負荷が同等のレペルを示す場合には,RVEFは低くとも右室容積の拡大により一回拍出量を代償するため,心予備能に影響が及ばないと考えられた。
- 神戸大学の論文
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