シングルパラダイムを用いた一次視覚野の時間分機能の評価 : 刺激システムを用いたシーケンスデザインの活用(原著)
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概要
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脳機能画像評価は,単一光子放射断層法(single photon emission computed tomography : SPECT),陽電子放射断層法(positron emission tomography : PET)などにより行われてきたが,時間・時間分解能の低さ,被験者の被曝の問題,検査の簡便性の低さや煩雑なデータ解析などの欠点があった.磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging : MRI)の撮像法として. 1977年にMansfieldがエコープラナー法(echo-planar imaging : EPI)を間発した.しかし,マグネットの高い磁場の均一性,高い傾斜磁場,十分なパワーと短時間受信処理可能なRFシステム,高速画像計算用ア***ロセッサーなどの高い性能性を求められ,実用化されるに至っていなかった.近年になり,これらの技術的な問題点が克服され, EPIによる撮像が実用化されるようになり,高分解能,無被曝,記録の簡便さから, f(functional) MRIとして脳機能検査にも用いられるようになってきた.脳機能としてのfMRIは, 1990年にマウスの実験からボールド(blood oxygen level dependent contrast : BOLD)画像の報告が揺るぎない地位を築いた.従来のfMRIは, BOLD効果に基づく脳内の血液中酸素量の変化に伴う磁化率効果の変動を,ブロックパラダイムを用いて検出することにより脳機能を評価してきた.しかし,ブロックパラダイムを用いた撮像法では,刺激を10〜60秒呈示し,5〜20回の刺激のON/OFFを数セット繰り返し撮像する.そのために,注視の疲労による瞬きが原因でtaskとrestの有意な差がなく,十分な賦活が得られない.また, BOLD効果によるhemodynamicsの刺激開始後の遅れと刺激終了後からの遅延による賦活の低下が起こる.さらに,時間分解能の低さから,早期の脳活動の評価には適していなかった.また.event-related fMRIに開する報告は,データの加算平均によるものが多く,刺激時間は短いが,撮像は連続的に行われ各撮像フレームの信号強度から時間分解能を求めるものであった.視覚刺激に対する一次視覚野の応答特性は刺激頻度依存性が報告されているが,刺激で賦活された信号に対する時間分解能に主眼を置いた報告はされていない.そこで,早期の脳活動の評価を行うために刺激による賦活の応答信号を検出するには,刺激に同期した撮像が必要であり,刺激システムによるシーケンスデザイン化されたトリガーによる撮像は,短時間刺激の賦活描出に重要な役割を果たすと思われる.本研究では, single shot EPIにより刺激に同期したシングルパラダイムを用いて短時間刺激における賦活描出により時間高分解能が可能となった.
- 2003-10-20
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