上向熔接に於ける熔融金屬の移行現象 I

概要

論文の詳細を見る
上向熔接に於て裸電極棒及び被覆電極棒を使用した場合の棒の熔融金屬の移行現象を高速度寫真によつて紹介し, オシログラムによつて短絡の發生囘数, 短絡繼續時間等を求めた結果を掲げ, 上向熔接に於ける現象を考察してゐる。裸棒の場合には母材側の熔融部は第13圖の如き運動をして棒と接觸し, 又接觸が破れる。運動の原因は熔融部内に發生する瓦斯或は蒸氣にあると考へられる。下向熔接に於ては熔融部の運動は略上下運動に近いに對して, 上向熔接では水平運動に近いので, 短絡の繼續時間は不規則となり, 且つ長くなつて時に棒と母材との熔着を招く。(第17圖)被覆棒(Y棒)に於ては母材熔融部の運動は少く, 接觸短絡中の移行現象は主として凝集力にて行はれ, 上記の運動に基く影響が少いので短絡繼續時間は長いが, 不規則性は少くなる。(第18圖)。Stabilend棒の如きものでは下向熔接の場合と同様に短絡繼續時間は短い。電流が多ければ棒金屬は粒子状にて移行する。(寫真No. 1∿4)本文は高速度寫真竝にオシログラムによる觀察の結果より, 上向熔接に於ける棒金屬の移行現象を説明紹介し, 併せて上向熔接に於ける作業の困難性を説明し, 更に移行現象に關する二三の文献に對して卑見を述べたものである。
社団法人溶接学会の論文

上向熔接に於ける熔融金屬の移行現象 I

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク