スジコガネの草地と林地間の飛翔と体内状況
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概要
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コガネムシの羽化成虫が多い草地で, 成虫の飛翔虫数と飛翔方向について, 1979年7月下旬∿8月下旬にほぼ毎日調査した.これと同時に捕獲した飛翔虫の種構成から, スジコガネの方向別飛翔虫数を推定した.また, 飛翔虫と林地などで得た成虫について, 性比・交尾率・卵巣成熟程度・蔵卵数を調査し, その推移からスジコガネ成虫の行動経過を推定した.1.飛翔虫数は, 日没後30∿50分の約20分間に多く, 主な飛翔方向は幼虫が生育した草地と成虫が集合する林地の2方向に固定されていた.日別の飛翔虫数は変動が大きく, その季節的推移には一定の傾向が見いだせなかった.2.飛翔方向は, 飛翔初期は林地方向のみ, 中期以降には草地方向が加わった.飛翔後期の8月下旬には林地方向がなくなり, 草地方向も中期とは別の方向となった.3.林地方向へ飛翔する群の構成は, 1)初期に多い羽化脱出直後の未成熟雌, 無効雌および雄, 2)中期以降に多い既交尾の無蔵卵雌・少数蔵卵雌, 3)中期以降過半数を占める既交尾の多数蔵卵雌, の3つより成っていた.4.草地方向へ飛翔する群は, 大部分が25∿60個と多数蔵卵した既交尾の成熟雌で, これらは草地へ産卵のために飛翔してくると考えられた.5.林縁の針葉樹には成虫の集団が見られ, ここで摂食・交尾・卵巣成熟がなされる.6.以上の経過について整理し, その機構についてヨーロッパコフキコガネと対比して考察した.また, スジコガネ幼虫の被害集中の理由について考察し, それが成虫の集団飛来に起因する可能性があることを指摘した.
- 日本昆虫学会の論文
- 1991-03-25
著者
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