モンシロチョウ PIERIS RAPAE CRUCIVORA BOISDUVAL 幼虫の血球に関する研究 : とくに血球の分類および異物に対する捕食ならびに被包化作用について
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概要
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モンシロチョウ5令幼虫の体内に注入した異物の捕食または被包化に関与する血球の種類を同定するために研究を行った。1. 血球の分類は超生体染色(ニュートラル・レッド染色), ギムザ染色, へマトキシリン・エリスロシンB染色, 熱固定(60℃, 30∿60秒)および, 生体標本について, 通常の光学顕微鏡および位相差顕微鏡を用いて行い, 主として形態学的観察により次の4つのタイプを区別しえた。Prohemocytes ; plasmatocytes ; granular hemocytesおよびoenocytoids。各タイプを岩崎(1930)の研究と比較した場合, granular hemocytesは岩崎の捕食細胞(phagocytes)および小球細胞(spherule cells)に相当し, plasmatocytesは原白血球(proleucocytes)の一つのタイプであると考えられた。2. 血球の捕食能力は幼虫1個体につき, 118, 560±9700墨粒子数/mm^3の墨汁0.0456gを注入し, 各種血球の墨粒子取りこみ率をしらべることにより調査した。同時に墨汁注入後のTHCおよびDHCの変化も調べた。3. 血球の捕食能力は墨汁注入後48時間で最大となり, 最も捕食能力の大きな血球はgranular hemocytesであった。4. 墨汁注入2時間後からgranular hemocytesの増加, plasmatocytesの減少がみとめられた。5. 墨汁注入後4時間目頃からTHCの減少がみられた。この傾向は48時間頃まで続くが, 72時間頃には正常なTHC値にもどるように思われる。6. 異物の被包化に関与する血球の同定は幼虫体内にSaltのマイクロピペットを使用してacrylonitrile-styrene粒子(直径30∿40μ)を注入し, 注入2日後に幼虫を解剖して粒子をとりだし, 粒子のまわりに付着する血球を剥離して, その形態と核の大きさとから, それらの大部分がplasmatocytesであり, ときにgranular hemocytesも加わっていることを明らかにした。
- 1971-12-20
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