中規模渦による黒潮流路の遷移 : 2層風成循環モデルによる実験
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概要
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単純化した陸岸と海底地形を持つ2層風成循環モデルを用いて,中規模渦による黒潮流路の遷移の可能性を調べた。直進路は渦の作用によって蛇行路へ簡単に遷移する。黒潮源流域(台湾東方)に高気圧性渦を与えた場合,その渦は東シナ海を北上し九州南岸に達するが,そこで低気圧性の小蛇行を形成し,それが日本南岸を東進することで大蛇行へと発達する。これは観測ともよく符合する結果である。初期に低気圧性渦を与えた場合は,渦が東シナ海に入った後,その上流側に高気圧性の渦を形成し,以後,初期に高気圧性渦を与えた場合と同様の過程を経て大蛇行路が形成される。このため,高気圧性渦の方が低気圧性渦よりも流路遷移を起こしやすい。一方,中規模渦を九州の南東に与えた場合には,低気圧性の渦の方が流路遷移を起こしやすくなる。高気圧性渦は流れの剥離により小蛇行(低気圧性)を形成するのに対し,低気圧性渦はそれ自身が小蛇行として働くからである。蛇行路から直進路への遷移は全く起こらなかった。これは,ここでは考えられていない要素が実際の遷移に効いているためと考えられる。
- 日本海洋学会の論文
- 2002-03-05
著者
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