季節内振動に伴う風強制により励起されたケルビン波について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
赤道太平洋西部の季節内振動に伴う40日周期の風応力により励起されたケルビン波を,海洋大循環モデルを用いて解き,その構造を解析した。波動の温度振幅は赤道を挟んで南北に二つの峰が存在し,速度振幅は温度躍層を挟んで上下に峰が存在していた。位相は上方へ伝播し,モード的というより波動的であった。この波動励起の仕組みを,鉛直1次元モデルを用いて考察した。波動は温度躍層において反射されるため,海面と温度躍層の間で共鳴的に励起される。この共鳴条件が,第1傾圧モードの位相速度3ms^<-1>に対応する。共鳴による波の励起は,強制の大きさと波の鉛直群速度(場の成層)に依存し,波の振幅が時間と共に増加することを示した。成層が強く躍層が浅い場合は,共鳴器が小さいため成長率は非常に大きくなりうる。熱帯の太平洋西部では,短い期間の風強制でもケルビン波が速やかに励起されているが,この事実はこの大きな共鳴成長率によって理解することができる。共鳴の立場からモードを解釈すれば,第2傾圧モードは海底と温度躍層が共鳴器であるため海面からの励起は非常に難しいことが分かる。また,強制がなくなった場合の共鳴器からの漏れによる波の減衰率も評価した。
- 日本海洋学会の論文
- 2002-03-05
日本海洋学会 | 論文
- 噴火湾上の風速場とそれが湾内の流れに与える影響(Journal of Oceanography Vol.56(2000))
- 人手と生物多様性
- 博多湾奥部における貧酸素水塊発生・消滅機構
- 博多湾奥における水質の季節・経年変動
- 有明海湾奥部における表層低塩分水の水平収束・発散とクロロフィルa濃度の関係