32.5°N線に沿うXBT断面で観察された北太平洋亜熱帯モード水
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概要
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日本のWOCE(世界海洋循環実験)計画の一環として,海上保安庁水路部の昭洋により,1990年から1993年までの毎年,北太平洋の32.5°N線に沿った高密度投下式水温水深計(XBT)観測が行われた。これらのXBT資料を,北太平洋亜熱帯モード水(NPSTMW)の中核層水温の年々変動に着目して解析した。140°E〜160°EのNPSTMWの中核層水温(CLT)には,年々変動が見出された。CLTは,17.4℃(1990年),17.1℃(1991年),17.3℃(1992年),17.6℃(1993年)と変化していた。NPSTMW形成域における冬季偏西風と海面水温分布のなどの考察から,CLTのこの変化は,形成域における冬季の大気冷却の強さに依存していることが示唆された。NPSTMWのインベントリ(断面に現れる占有面積)も変動を示していたが,CLTや大気の強制場との明瞭な関係は見出せなかった。むしろ,年毎の観測時期の違いがインベントリに影響していると思われる。1991年の水温躍層深度は,180°より東の海域で,1992年や1993年よりもかなり浅いことも見出された。この変動に対応して,1992年と1993年の断面には,水温11℃から14℃をもつ北太平洋中央モード水が180°より東側に出現していた。また,北太平洋を横断した1993年の断面では,水温約17℃を持つ表層の水温サーモスタッドが断面の東端のカリフォルニア沖に観察された。
- 日本海洋学会の論文
- 2002-03-05
日本海洋学会 | 論文
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