夏の北太平洋亜寒帯域における硫化ジメチル,植物プランクトン色素,従属栄養細菌生産速度の生物地球化学的変動
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概要
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1997年の夏季に,ベーリング海を含む北太平洋亜寒帯域の海洋表層(0〜100m)において,硫化ジメチル(DMS),クロロフィルa(Chl-a),補助色素(フコキサンチン,ペリジニン,19'-ヘキサノイロキシフコキサンチン),および細菌生産速度を測定した。表面海水中におけるDMSとChl-aの濃度は,それぞれ1.3〜13.2nM(5.1±3.0nM,mean±S.D.,n=48),0.1〜2.4μgl^<-1>(0.6±0.6μgl^<-1>,n=24)と大きく変動した。北太平洋亜寒帯域において,DMS/Chl-a比は西部よりも東部で高かった(p<0.0001)。有光層下では,DMS/Chl-a比は低く,DMSとChl-aの相関は比較的強かった(r2=0.700,n=27,p<0.0001)。一方,有光層内では,DMS/Chl-a比は高く,DMSとChl-aの相関は弱かった(r^2=0.128,n=50,P=0.01)。このDMS/Chl-a比の大きな変動は,DMS/Chl-a比とフコキサンチン/Chl-a比との間に負の相関(r^2=0.476,n=26,p=0.0001)があったことから,植物プランクトンの種組成の海域による変動によって少なくとも部分的には説明できる。さらに,DMSと細菌生産速度との間には正の相関(r^2=0.380,n=19,p=0.005)があった。これは,細菌による代謝がDMSやDMSPの消費よりも,むしろDMSPの酵素分解によるDMSの生成に寄与していることを示唆している。
- 日本海洋学会の論文
- 2002-03-05
著者
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