中規模渦に起因するトカラ海峡での黒潮の変動
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概要
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TOPEX/POSEIDONとERS-1海面高度計の同時観測期間(1992年10月〜1993年12月)のデータから得られた高分解能の海面力学高度を,CEOF解析することで位相進行するモード成分に分解し,これら各モード成分の重ね合わせによってトカラ海峡とASUKA測線における黒潮流量の変動を記述した。どちららの変動も,ほぼ半年周期のモードに支配されており,黒潮と中規模渦の一連の相互作用の過程を含んでいた。すなわち,23°Nを西向きに移動する渦の一部が沖縄南方で黒潮流軸南部に捕獲されて下流方向に移動し,トカラ海峡を通過後,30°N上を西進する別の渦とASUKA測線付近で合体している。ただし,ASUKA測線での流量変動はこれ以外のモードからも寄与があり,東部から接近する渦が,トカラ海峡を通過せずに九州東方〜四国南方の海面高度を直接変動させる場合もあることが示唆された。一方,トカラ海峡での黒潮流軸位置の変動に対して同じ解析を行ったところ,東シナ海の黒潮域に限定された局所的な短周期変動が支配的であることが分かった。ただし,この結果は時間スケールに強く依存しており,長い時間スケールでは,トカラ海峡の黒潮流軸位置の変動が,日本南方の海面高度変動と同期している可能性があることも示唆された。
- 日本海洋学会の論文
- 2002-03-05
著者
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