日本産毛翅目幼蟲
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概要
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毛翅目幼蟲の分類に對きては歐洲にG.UIMER(1903, 1909), E.ROUSSEAU(1921), 米國にJ.KRAFKA(1915), J.T.LLOYD(1921)(LLOYD氏の著は此稿を終りし時に手にする事を得、最初より參考となし得ざりしは遺感なり)の諸氏の著あり。我國に於ては川村教授の日本淡水生物學中にその記載あり。余は1925年四月以來京都帝國大學理學部動物學教室に於て、此類昆蟲の研究を開殆せしが先づ幼蟲を主とする事となし、大津臨湖實驗所々藏標本を基礎とし、學兄諸氏より受けたるものと余の一年餘採集せしものに就きて調査せり。本記載中の標本は總てアルコール漬のものなり。日本産毛翅目の成蟲の二三科に關しては松村、中原、桑山諸氏の研究あり、余の調査は日尚淺く各個種屬の生活史に關しては未だ研究し得ざる所多く、從て單に幼蟲に關してのみ然もその形態を觀察せるに止れば、成蟲と幼蟲との聯絡に於ては未だ甚だ不充分なるを免れず。故に余の此報告中に含まるゝものと上記諸氏の成蟲に關する記述との間に同種異名を生ずる虞あるべきも、此は止むを得ざることにして他日更に研究を進め追て訂正するの他なし。且つ幼蟲と雖も今後尚續々新しく發見せらるゝ見込なれば得るに從ひて追加すべし。茲に懇篤なる指導を賜りたる川村教授を始め、貴重なる圖書を貸與せられし駒井, 湯淺兩教授及び圖書閲覽に多大の便宜を與へられし大原農事研究所春川博士、また採集に多大の援助を與へられし安田、徳永、丹羽、小泉の諸氏竝に標本を寄與せられし諸氏に感謝の意を表す。本報告の記述には毛翅目幼蟲概形の説明を省略したるを以て、未だ此類の形態に通ぜざる方は川村氏著日本淡水生物學上巻中のその項を(圖畫も同書中記載のものは省略したるもの多ければ)一續せられん事を望む。各部の名稱譯語等も余の差支へなき限り同教授の創意になるものを襲用し居れり。
- 社団法人日本動物学会の論文
- 1927-06-15
著者
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