ポリマー系PTC組成体を用いた3216サイズのチップ型過電流保護素子
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年、エレクトロニクス分野での高密度実装の要求に伴い、表面実装部品の需要が急増している。それらの部品を保護するヒューズについても表面実装化の要求が強く、3216サイズのチッブヒューズが実用化されている。しかし、このタイプのヒューズでは保護動作後の交換が容易にできず、メンテナンスが極めて面倒なものになる。この問題を解決するものとして、ポリマー系PTC組成体を用いた自己復帰型過電流保護素子がある。これらのものは過電流に応答して速やかに抵抗値が上昇することで(トリップ状態になる)、回路電流を安全なレベルに抑え込むが、回路の異常が取り除かれると初期の低抵抗状態に復帰し、再び過電流保護素子として使用できるものである。しかし、ホリマ一系PTC組成体を用いた過電流保護素子を小形化して行くためには、解決すべき重要な課題がある。小形化のためには、体積抵抗率の低いPTC組成体を用いることが極めて有効であるが、これらの素材では体積抵抗率を低くして行くと十分なPTC特性が発現しなくなり、過電流保護素子としての機能を果たせなくなるという問題の解決である。著者らは、PTC組成体の成分に導電性の高いサーマルブラックを用いれば、低い体積抵抗率でも十分なPTC特性が発現する組成体が得られることを見いだし、過電流保護素子への応用について研究を行ってきた。本報では、その組成体を用いて試作した3216サイズの過電流保護素子の特性を報告する。なお、試作品の目標仕様は、定格電圧は低くしても、なるべく低抵抗化することを考えた。これはこのタイプの保護素子が使用される回路は一般に低電圧で駆動し、素子の電圧降下が問題になるためである。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1996-09-18
著者
関連論文
- ポリマ系PTCサーミスタを使用した配線用テスタの開発
- ポリマ系PTC素材の改良による表面実装形過電流保護素子の開発
- DC380V用マイクOヒューズの開発
- パルス電流回路におけるヒューズ選定法に関する一考察
- ポリマー系PTC組成体を用いた3216サイズのチップ型過電流保護素子
- インテリジェントヒーターを用いた網膜芽細胞腫治療装置の開発に関する研究(第一報) : 境界要素法によるリアルタイム眼球断面温度分布推定