局所強調朗読音声における局所話速変化検出の試み

概要

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近年,連続音声認識・会話音声認識の研究が進み,大規模・複雑な手法ではあるが,かなりの認識率を達成できるようになってきた.また,それらの認識システムにおいて,韻律情報の利用も検討されている.音声認識ではマン・マシンインタフェースの一環として,音韻情報のみならず,音声として表現された話者の意図(強調等)もある程度捉えられるような感性情報処理の方向への研究も重要になると考えられる.音声波形に音として含まれる言語的意図情報のうち,ピッチ・パワー等の韻律情報についてはすでに各所で研究が開始され,ワードスポッティングやある程度の係り受けの解析例が報告されているが,局所的話速変化に含まれる情報については研究例が少ない.日本語は各モーラについて等時的特性があるといわれ,事実,際立った強調や表情なしに平坦に発声した場合には,等時的特性は我々の通常の経験からも感じ取ることができる.しかし,何か意図をもって強調したり表情を加えたりした場合,ピッチ等の韻律の変化のみならず,話速の変化もともなうと考えるのが自然である.我々が相手に重要なことをわかりやすく話す場合,重要な部分は聞き取りやすいよう「ゆっくり」発声することがある.全ての場合においてそのような話速の変化をともなうわけではないが,話速の変化が含まれている場合には,特に重要な意図を伝えようとしていると考えられ,それを捉えられる能力をもつことが上述の感性情報処理の観点から重要であると考える.本稿では,局所的話速変化を,あらかじめ音素セグメンテーションすることなしに検出する方法について検討する.これは話速変化による強調等の情報を音韻認識でも活用し,重要な部分から認識をしていくことや,音韻認識後の言語的復元処理・意味理解処理等へも有用な情報を提供するシステムを想定しているためである.
社団法人電子情報通信学会の論文
1995-09-05

局所強調朗読音声における局所話速変化検出の試み

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