多峰性の評価関数空間における進化論的ディジタルフィルタとその他の適応ディジタルフィルタの収束特性の比較
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概要
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適応信号処理において, IIRフィルタを用いた適応フィルタを構成すると評価関数空間が多峰性になる. このため, LMS(Least Mean Square)アルゴリズムなどの評価関数空間の傾きに基づいた探索を行うアルゴリズムの場合, 適応フィルタの係数が極小解に収束してしまうという問題がある. このような多峰性の評価関数空間を有効に探索する適応アルゴリズムとして遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm:GA)を用いた適応フィルタが提案されている. GAは, 生物進化をモデルとした学習・最適化アルゴリズムであり, 評価関数空間を多点で探索し, 評価関数空間の傾きに基づかない探索アルゴリズムである. これらに対し, 著者らは, 多峰性の評価関数空間を効率的に探索できる適応フィルタとして, 進化論的ディジタルフィルタ(Evolutionary Digital Filter: EDF)を提案している. EDFは, 生物集団の進化・適応戦略をモデルとした適応ディジタルフィルタである. 特に, EDFは, GAと同様に, 評価関数空間上を多点で探索し, 評価関数空間の傾きに基づかない探索アルゴリズムを持つ. しかし, GAとEDFでは, 生物個体の表現法や進化における個体の扱い方が異なっている. このことから, IIRフィルタを用いたEDF(IIR-EDF)は, 評価関数空間が多峰性になっても最適係数を効率的に探索できる. 本稿では, システム同定の実験を行い, IIR-EDFの有効性を示す. この実験において, 多峰性の評価関数空間で, IIR-EDFが, LMS適応ディジタルフィルタ(Least Mean Square Adaptive Digital Filter: LMS-ADF)と単純遺伝的アルゴリズムを用いた適応ディジタルフィルタ(Adaptive Digital Filter based on the Simple Genetic Algorithm: SGA-ADF)よりも収束誤差が小さくなることを示す.
- 1997-08-13
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